
草間彌生さんの自伝本「無限の網」。
第五章の感想です。
感想
本章の感想です。
日本社会への憤り、失望
男が幅を利かせている日本社会に憤る草間さん。
現代でさえ改善されていないのだから、当時は当たり前か。
その状況下で声を上げたというのも、革命家草間彌生ならでは。
- 日本社会の体制と規約の壁
- 政治への不信
- マスコミの暴力
- 欧米の真似ばかりで没個性
現在も話題になっている問題に対して、当時から鋭く切り込む。
この辺りの感性や問題意識こそ、草間さんが世界で評価された所以なのかと思う。
芸術とは求道
自分の精神の力と、道を求める心の奥の誠実によって、人の世の混迷と迷路をかきわけて、魂のありかを一歩でも先へ近づける努力である。
今日よりも明日、明日よりも明後日。
自分が生きている意味を示し、人生をより輝かせる。
それが人間らしさだ。
と自分は解釈しました。
人間はしがない虫けらではないという畏敬の念を感じて、未来への心の位置を高めたい。
一生をかけての仕事である。
芸術家、革命家、人類を導く先導者、人類の可能性を信じる求道者。
それこそが草間彌生なのだな、と思う。
両親への感謝
放埒な父、癇癪持ちの母。
決して良いイメージではなかった草間さんの両親。
それでも最後に生を与えてくれ、社会の仕組みを体験させてくれた両親へ感謝の思いを綴っているのが驚き。
恨みを言うのではなく、許しそして感謝する。
人間としての懐の深さというか、器の大きさというか…
改めて人としてもスケールが大きい方なのだな、と思う。
私を産んでくださった、私のもっとも尊敬し愛する亡き父と母に、心から感謝しているのである。
いやぁ、自分だったら絶対にこんなことは言えないな…
芸術家であるということ
幼少期と同じく、今なお決して楽しんで創作活動をしているわけではない、という。
寝ることだけが1番の快楽。
いい芸術を作りたい、そのためには如何なる苦労をしても悔いはない。
まさにプロフェッショナルです。
感想まとめ
帰国後、日本社会に絶望しながらも祖国を見捨てない草間さん。
ならば自分が日本を変えようと思い、行動するのが流石だなと思う。
人類を向上させるという使命を持ち、立ち向かう。
草間さんのプロ意識。
そして両親への感謝。
自分のことしか考えずに生きてきた自分とは大違い…